生成AIの次に来る“自律型”の波
ChatGPTをはじめ生成AIが注目を集める中、2025年はさらなる進化とされる「エージェントAI(自律型AI)」の本格導入元年となる可能性があります。単なる「質問に答えるAI」ではなく、外部ツールを介してタスク全体を完遂する能動的なAIが、企業のDXにおける競争力の鍵を握るでしょう。
AIは“答えるもの”から“動くもの”へ
生成AIから進化し、「自律的に考えて動く存在(Autonomous Agent)」としてのAIが注目されています。海外ではOpenAIやNvidiaの経営陣が“2025年にエージェントAIが事業に広まる”と予測しています。
国内でも大手通信・IT企業が「業務特化型AIエージェント」の展開を加速中です。NTT Comは2024年6月19日から20種類の業務エージェントを提供開始し、サイバーエージェントの導入事例では、大手商社などでAIエージェントが業務効率化に貢献しています。
しかし、PoCから本格導入に進めずに止まる企業や、ツール連携やデータガバナンス、信頼性(幻覚・暴走)への懸念が残る点は共通の課題です。
業務にどう落とし込むか?エージェントAIの実践例
ユースケース①:会議調整・議事録の自動生成
スケジュール調整、資料収集、会議要約、タスク配分といった一連の流れを自動で行う事例が増えています。 → 例:Superhuman、Reclaim AI、Notion AI
ユースケース②:社内の定型業務自動化(バックオフィス)
経費精算、承認フローなどのバックオフィス業務を、RAG(Retrieval Augmented Generation)とSaaS連携で自律処理する設計。
ユースケース③:カスタマーサポート業務の自律化
Zendesk AI、Intercom Finなどを用いた、自動応答エージェントによる背景把握+文生成対応
技術面でのポイント
- RAG設計:社内ナレッジベースとの接続性
- ツール連携:Slack, Notion, Google Workspace との統合
- 信頼性の確保:幻覚防止、ログ可視化、モニタリング設計
検討中の企業としての立場から
私たちも、エージェントAIの可能性に注目しており、業務適用の方向性を社内で模索しはじめています。 たとえば「どのような業務が適しているのか」「社内ツールとの連携設計にどの程度の設計工数が必要か」など、初期フェーズで直面しがちな論点に対し、実際の検討企業としての視点を今後も整理していく予定です。
導入に向けた各段階には、技術面・体制面のさまざまな論点がありますが、同じくこれから導入を検討される企業の方々にとって、現実的な参考やヒントとなるような情報を共有していければと思います。
まとめ
エージェントAIは、単なる生成AIの延長ではなく、業務自動化の真のブレイクスルーです。ただし、“導入すること”そのものが目的ではなく、自社に合った形で「安全かつ持続的に活用できる」設計が求められます。
まずは業務フローの洗い出しから、“自律的に動いてほしい仕事”を3つ程度ピックアップしてみましょう。
自社でのエージェントAI導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。 業務プロセス整理やPoC設計のご支援も可能です。詳細はお問い合わせフォームへ。
参考文献
- TIME(2024年12月)「5 Predictions for AI in 2025」
- Reuters(2024年12月)「Autonomous agents and profitability to dominate AI agenda in 2025」
- Barron’s / FT:Nvidia CEOやOpenAIが2025年にAIエージェント普及と発言
- NTTコミュニケーションズ(2024年6月)「20種類の業務AIエージェントを提供開始」
- サイバーエージェント「AI Worker」導入事例(PR TIMESなど)
- Zendesk AI / Intercom Fin / Notion AIなど公式製品サイト